小児の気管支喘息(ぜんそく)について
- せい子 藤沼
- 10月3日
- 読了時間: 3分
気管支喘息とは?
小児の気管支喘息(ぜんそく)は、気管支に慢性的な炎症があるために、空気の通り道が狭くなりやすい病気です。咳が長引く、夜中や明け方に咳き込む、運動すると「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と息が苦しくなるのが特徴です。
日本の子どもでも比較的多く見られる病気で、アトピー体質やアレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎などを持つお子さんに合併しやすいといわれています。
診断の流れ
「子どもの咳が長引く」「夜になると咳き込む」「風邪をひくたびにゼーゼーする」といった症状が繰り返しある場合、気管支喘息の可能性があります。
診断は、以下を組み合わせて行います。
繰り返す咳や喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー音)の有無
家族に喘息やアレルギーがあるか
アトピー性皮膚炎や鼻炎の合併
聴診での呼吸音
乳幼児では、症状のパターンや経過の観察が特に重要になります。
重症度の評価
喘息は症状の頻度や重さによって分類されます。これは治療の内容を決めるうえで大切です。
(軽症間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型)
また発作の強さにも分類があり、対応や入院の適応を決めるのに重要です。
(小発作、中発作、大発作)
小児喘息の治療方法
治療は「発作を止める薬」と「発作を予防する薬」に分けられます。
発作を止める薬(リリーバー)
発作が出たときに一時的に気道を広げる薬です。
短時間作用型β2刺激薬(SABA、吸入薬として使用)や長時間作用型β2刺激薬(LABA、貼付薬あり)
去痰薬、鎮咳薬
発作を予防する薬(コントローラー)
喘息治療の中心で、毎日使うことで症状をコントロールします。
吸入ステロイド薬(ICS):炎症を抑える最も重要な薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA):飲み薬で使いやすい
長時間作用型β2刺激薬(LABA):ICSと併用
抗IgE抗体(オマリズマブ)などの生物学的製剤:重症例に使用
症状の経過に応じて治療を「ステップアップ」したり「ステップダウン」したりしながら、必要最小限で最大の効果が得られるように調整します。概ね3ヶ月毎の経過で調整を判断します。
予後について
小児喘息は、成長とともに改善するお子さんも多く、思春期までに半数程度が自然に軽快すると言われています。ただし、アトピー体質が強い場合や重症の子どもでは成人まで続くこともあります。
しかし、きちんと治療を続けることで…
運動や学校生活を制限なく送れる
夜間の咳を防いで睡眠を確保できる
将来の肺機能低下を防げる
といった大きなメリットがあります。
当院での対応
季節の変わり目や気圧や気温が大きく変化する時期は気管支喘息の症状が悪化しやすく、咳や喘鳴を主訴に小児科を受診されるお子さんが増えます。当院では、お子さんの症状や重症度に合わせてオーダーメイドの治療方針を立てています。吸入指導や日常生活のアドバイスも含め、ご家族と一緒に長期的なサポートを行います。また重症例については近隣の高度医療機関に相談、紹介を行います。
「子どもの咳が長引く」「風邪をひくたびにゼーゼーする」「夜になると咳が止まらない」などでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
